AKB48加藤玲奈が座長を務める「劇団れなっち」による舞台「ロミオ&ジュリエット」が2018年5月9日から、東京AiiA 2.5 Theater Tokyoで催されていた。今回は白組と黒組に分かれての舞台で、それぞれで出演するメンバーが異なる。5月13日に千秋楽を迎えた。
5月10日にはメディア向けの黒組ゲネプロが開催された。黒組の中でも目を引いたのは、バルサバザー役を演じたチーム8の太田奈緒だ。
オーディションでは別の役もゲット
今回の「劇団れなっち」にはAKB48グループから全部で211人が立候補。2018年1月に開催された2次オーディションでは、1次オーディションを通過した71人が、総合演出を務める堤幸彦監督らを前にして台詞やアドリブでの演技を披露。
SHOWROOMで1次審査があり、太田はSHOWROOMでファンの前で練習を重ね、ファンからも声援とアドバイスをもらっていた。2次審査では堤監督の前で「クレヨンしんちゃん」の物真似も披露。
その物真似が堤氏の目にとまり、「劇団れなっち」の合格だけでなく、堤氏が監督を務める舞台、上野パンダ島ビキニーズ「マイナス2.5」での役も獲得。「劇団れなっち」の2か月前の2018年3月に披露していた。
2次オーディションでは「昨日食べた夕食を大笑いしながら紹介してください」というお題では「昨日はケータリングで、酒じゃない!麻婆豆腐・・」と大笑いしながら演技を披露。見事にオーディションを突破、バルサザーの役に抜擢された。
純粋無垢なバルサザーを好演した太田
太田にとって、今回は初の男役。濃いメイクはいつもの太田とは全く違うが、純粋無垢な少年のバルサザーは普段の太田と通じるところもあるのだろうか、太田には適役といった印象だった。だが、バルサザーは今回の舞台「ロミオ&ジュリエット」の中でも一番感情の起伏が激しい役柄だ。
太田は純粋なバルサザーの喜怒哀楽を見事に演じていた。明るく無邪気に振る舞うシーン、殴られるシーン、シリアスからコミカルなシーンへの切り替え、客席の前にも登場してマスクをかぶるシーン、親友と思っていたのに裏切られてショックを受けるシーン、自らの最期のシーンなど、それぞれのシーンに応じたふさわしい表情と表現力で、感情の起伏の激しいバルサザーを見事に演じて会場の観客を魅了。
太田の秀逸な表現力は舞台での存在感を際立たせていた。
ラインハルト役山田との絶妙な掛け合い
特に一番の見せどころは、同じチーム8の山田菜々美演じるゴロツキのラインハルトを殺すシーンだった。
漢気溢れる孤独なゴロツキのラインハルトを演じる山田の演技も見事だった。親友になれたと思ったラインハルトを殺すシーンでの、純粋なバルサザーの感情溢れる表情と台詞。
バルサザーとラインハルトの最期の掛け合いは特に絶妙で、その表情と演技で感動するシーンを見せつけた。
「ロミオ&ジュリエット」のシーンの中でも一番印象に残るシーンと言っても過言ではなかった。
「自分に出来ることは出し切れた」
バルサザーという純粋な少年の喜怒哀楽を、とても楽しそうに舞台で演じていた太田の姿が印象的だった。舞台で演技を楽しんでいる様子が客席にも伝わってきた。
太田は自身が出演した黒組の千秋楽終演後のSHOWROOMで「自分に出来ることは出し切れた。でももっともっとうまくなりたい。舞台は楽しいと思った。芝居することの楽しさを知った。もっともっと表現の仕方などを学んで芝居に関わりたい」とファンに感想を語っていた。
また役作りのために「自分の感情を作るために、舞台の合間には一人になっていた。ラインハルトを憎む感情を作っていた。待っている間に、山田がハグしに来たが、これから殺す役の山田とハグする訳にはいかないので、無視していた」と裏話も語っていた。
今回の舞台では、最後に出演メンバー全員でAKB48の楽曲も披露。メンバーが舞台の衣装のままで、AKB48の「ポニーテールとシュシュ」と「少女たちよ」を披露するが、そこではバルサザーやラインハルトの衣装に身を包みながらも、いつものアイドル太田奈緒と山田菜々美に戻っていた。
今回の「ロミオ&ジュリエット」で初の男役で好演し、多くの観客を魅了した太田奈緒。確実に女優への道を歩んでいる。太田は2018年7月に開催されるチーム8単独の舞台「KISS KISS KISS」への出演も決まっている。
次の舞台ではどのような表現を見せてくれるのだろうか。次の舞台とこれからの活躍が楽しみだ。