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舞台『フラガール』公開:AKB48チーム8太田奈緒「奈緒の言葉、大丈夫か確認してください!」

個性的な役者が勢ぞろいの舞台「フラガール」

2006年に公開された映画「フラガール」。第80回キネマ旬報ベストテン1位、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した日本映画の傑作だ。

 

昭和40年の福島県いわき市の炭鉱が舞台。エネルギーの石油化の波に飲まれながらも、需要の下がる石炭を堀り続けていくが、産業も減退。それでも力強く生きる人々。常磐ハワイアンセンター設立までのエピソードを、フラガールに生まれ変わっていく少女達の笑顔と涙で描ききった作品で、多くの日本人にとって記憶に新しい作品だ。

 

その「フラガール」が12年の時を超えて舞台化された。2019年10月18日から東京・日本青年館ホールで公開。10月18日の初日にはメディア向けのゲネプロと囲み取材が行われた。

 

乃木坂46の井上小百合(フラガールのリーダー谷川紀美子役)、元℃-uteのリーダー矢島舞美(フラダンスを指導することになる平山まどか先生役)、AKB48チーム8京都府代表の太田奈緒と「劇団4ドル50セント」の福島雪菜(紀美子の親友でフラガールを目指す木村早苗役Wキャスト)、富田望生(映画版では南海キャンディーズの山崎静代が演じた熊野小百合役)、伊藤修子らと個性的な出演者、さらに大女優・有森也実、NHK朝の連続ドラマ小説『朝が来た』で炭鉱夫を演じていた山崎銀之丞が出演することから注目が集まっていた。

 

「とにかく頑張たいと思います!」

今回の舞台「フラガール」に出演している中で注目の1人が太田奈緒だ。舞台では素朴な昭和時代の福島の炭鉱の少女・早苗を演じる。

 

太田は囲み取材で「舞台での意気込み」について、笑顔で「とにかく頑張たいと思います!」と力強く語った。

 

さらに「今回は、Wキャストですが、もう1人のキャストの福島雪菜さんと比較して、それぞれの見どころやポイントがあれば教えてください」という質問に、太田は「私は自信がないところがまだあります。山崎銀之丞さんに"奈緒の言葉は嘘っぽい"と普段話している時に言われてしまいました(笑)だから舞台でも"大丈夫かな?"と思っています(笑)舞台上で、大丈夫か是非確認してください!」と語ると周囲の出演者らからも笑いが起きていた。

 

見どころ満載の早苗

早苗は、廃れ行く炭鉱の町に生まれ育ち、毎日泥まみれの生活から抜け出すチャンスはないかと考えて友達の紀美子(井上小百合)を誘ってダンサー募集に応募することを決意。

 

舞台で力強く早苗を演じる太田奈緒の笑顔、日々の生活の苦しさと哀しみ、別れの切なさ、力強さ、逞しさを表現した多彩な表情。

 

普段は京都弁の太田奈緒が話す素朴な昭和時代の福島弁での台詞。いつもは見られない髪型。炭鉱の娘として初めてフラダンスに挑戦する稽古シーンでのたどたどしいステップと踊り。

 

夢と志を半ばにして、フラガールを諦めざるをえなかった早苗の切なさと哀しみも見事に演じ切っている。

 

また紀美子(井上小百合)や平山先生(矢島舞美)ら共演者とのパフォーマンスなど見どころが盛りだくさん。

 

感動の大作「家族の大切を強く感じました」

太田奈緒は2016年9月に舞台「絢爛とか爛漫とか」、2018年3月には舞台上野パンダ島ビキニーズ「マイナス2.5」、2018年4月には舞台「殺しのリハーサル」、2018年5月には劇団れなっちの舞台「ロミオ&ジュリエット」、2018年7月にはチーム8での舞台「KISS KISS KISS」、2018年10月にはAKB48で舞台「マジムリ学園」、2019年2月から監禁劇「山犬」、2019年4月には舞台「エラリー・クイーン」、2019年9月にはチーム8の舞台「Bee School」に出演。

 

そして2019年10月から舞台「フラガール」に出演。9月29日に開催された公開稽古では太田は「私はこの作品を見て、家族の大切を強く感じました。この舞台を見に来ていただいた方には、"家族に会いたくなった"という想いや女性の強さを感じてもらえるように、私も演技を通して伝えていけるように頑張りたいと思います」と語っていた。

 

実話を元にしたハートフルな作品で太田奈緒が演じる早苗の存在感は大きい。2006年の大ヒット映画「フラガール」を舞台化した今回の大作で、早苗という昭和時代の福島の炭鉱の純朴な娘を演じ、女性の強さと逞しさ、明るさと切なさを巧みに表現していた太田奈緒。女優としての新たな一面を見せつけた。

 

また、今回の早苗役は太田奈緒と福島雪菜のWキャスト。福島は囲み取材で自身の見どころについて「私の声は通るから、そこが強みだとスタッフからも言われました。"押して押してガンガン行け!"と言われました。だから私の早苗は押して、押して、押し倒して行こうと思います」と語っていた。福島と太田のWキャストで、それぞれの回で見比べてみても楽しむことができる。

 

ゲネプロを観覧していたチーム8宮城県代表の佐藤朱は自身のSNSで「お隣県の福島のお話だし、ハワイアンセンター行ったこともあったし、より感情移入しちゃいました。本当に素敵な舞台です」と感想を綴っていた。