2019年2月27日から、サンシャイン劇場で劇団鹿殺しの監禁劇「山犬」が開演した。
劇団鹿殺しの丸尾丸一郎氏による怪作、舞台「山犬」。少人数のキャストで人間の極限状態と純愛を描いた濃密な監禁劇。AKB48チームBの岩立沙穂、谷口めぐ、チーム8の太田奈緒の3人がメインキャストを務めている。
元コーラス部の少女たちが、淡い恋心を抱いていた教師と10年ぶりに再会していくところから物語は始まり、センセーショナルな監禁劇の先にある、ノスタルジックな純愛の感動作となっている。
「私たちが埋めたタイムカプセルを一緒に掘りに行きませんか? ハマダマコト」。同窓会の前日に届いた一通の手紙。しかし、誰もその名前に記憶がない。
10年ぶりに再会した元コーラス部の生徒たちと先生は、手紙に導かれてタイムカプセルを掘るため、学校の裏山へと向かう。タイムカプセルの中には、骨とハマダマコトの名札が入っていた。その時、何者かに襲われて山小屋に監禁されてしまう。そこから始まる記憶探しのサバイバルゲームを描いた舞台だ。
「化けの皮が剥がれていくところが注目ポイントです」
今回、AKB48のメンバーが3人出演しているが、その中でも特に目を引いたのが「山本雲雀」役を演じている太田奈緒だ。今回の舞台でもコミカルなシーン、シリアスなシーン、狂気に満ちたシーン、アクションと様々なパフォーマンスで会場を魅了。シーンごとに見せる笑顔、泣き顔、虚無、怒り、狂気と多彩な表情、さらに太田の迫真の表現力にも注目だ。
その太田が、2月27日のゲネプロ後にインタビューに答えてくれた。
今回の舞台の見どころと注目ポイントについて、太田は「舞台全体の見どころは、一人一人が抱えているものが、細かく描かれています。全部の役の気持ちとして見ると、苦しくなる部分もあると思いますが、救われる部分もあります。
何回も見て、その役ごとの気持ちを考えて欲しいなと思います。凄く考えさせられる舞台です。終わってからの感想も、それぞれ違うと思いますので、是非、皆さんの感想を知りたいなと思います」
また、太田自身の見どころについては「最初は明るくて、元気な役ですが、監禁されてからは、今までいじめられていたことが出てきて、化けの皮が剥がれていくところが注目ポイントです。監禁されてからの変わり様を注目して見て欲しいです」と語ってくれた。
「あまり食べないようにして、空腹の辛さをイメージしました」
稽古で苦労したことや役作りで心掛けたことについて、太田は「(ふだんは京都弁なので)標準語の使い方で注意されることが多かったです。注意されたところは、全部メモをして、発音のチェックをしました。
また監禁されてからの狂気じみたシーンでの演技パフォーマンスが、足りないと演出の丸尾氏に指摘されることも多かったです。監禁されるシーンが凄く難しかったです。監禁されて食事を食べられない環境にいるということが、ふだんないので、イメージが浮かばなかったので、苦労しました。
そのため、空腹の気持ちをわかりたいなと思って、あまり食べないようにして、空腹の辛さをイメージしてみて、目が鋭くなったりするように意識したり、心がけました。もちろん、その後、ちゃんと食事はしました!」と役作りでの苦労話を語ってくれた。
楽屋では和やかにリラックス
AKB48の他の共演者との関係について、太田は「岩立沙穂さんと、谷口めぐさんはチームBの先輩なので、公演でも一緒に話をしたりしているので、楽屋でも和やかなムードで楽しくやっていました。休憩時間には『じゃがアリゴ』を食べたりして、リラックスしていました」と舞台裏でも仲睦まじかったことを語っていた。
「メイクはアーティスティックな感じでカッコいい」
今回の舞台「山犬」では、メイクのインパクトも凄い。最初に情報解禁された時には驚いたファンも多かった。このメイクも今回の舞台の見どころの1つだ。
それについて太田は「抵抗はありましたが、監禁されてマスカラが落ちていくメイクは初めてですが、アーティスティックな感じでカッコいいなと思いました。
ファンの方は『ホラーみたいで怖い』と言う方と『カッコいい』と言う方に分かれました。このメイクで写真もたくさん撮ったのですが、なかなかプラメやSNSには載せられなかったです(笑)」と。
「新たな自分を見つけていきたい」
太田奈緒は、昨年から立て続けに舞台に出演しており、その演技力は定評があり、着実に女優への道を歩んでいる。今回の「山犬」は太田にとって、どのような位置づけなのだろうか。
太田は「今までは、赤犬以外はハッピーな役が多かったです。今回の舞台では、どんどん人間の内側から出てくるものをパフォーマンスで表現するのは初めてだったので、難しかったです。ちゃんと表現できているのか、今でも不安です。
今までに演じたことがない新しい役を演じることができたのが良い経験になると思います。この舞台で一皮むけたら、次の舞台にも繋げていけるように成長できると思っています。新たな自分を見つけていきたいなと思います」と想いとこれからの女優としての意気込みを語った。
「嫌われる覚悟で舞台に臨みますのでしっかり見ててください!」
最後に、ファンへのメッセージとして、太田は「ビジュアルを見て、怖いという声も聞こえています。舞台を見て頂いたら、いつものアイドルの太田奈緒とは違います。
嫌われるのではないかという不安はありますが、ファンの皆さんを信じて、思いっきり、嫌われる覚悟で、舞台に臨みます。是非、感情移入をして、しっかり見ててください!」と語ってくれた。
また「Tシャツや(現在、自分が着ている)スウェットも販売しているので、是非劇場でゲットしてください!」と呼びかけていた。
今回の舞台「山犬」でも、いつものアイドル太田奈緒とは異なり、女優としての新たな一面を見せつけた。太田奈緒の舞台での演技には引き続き注目だ。