2019年2月27日から、サンシャイン劇場で劇団鹿殺しの監禁劇「山犬」が開演した。
劇団鹿殺しの丸尾丸一郎氏による怪作、舞台「山犬」。少人数のキャストで人間の極限状態と純愛を描いた濃密な監禁劇。AKB48チームBの岩立沙穂、谷口めぐ、チーム8の太田奈緒の3人がメインキャストを務めている。
元コーラス部の少女たちが、淡い恋心を抱いていた教師と10年ぶりに再会していくところから物語は始まり、センセーショナルな監禁劇の先にある、ノスタルジックな純愛の感動作。
そして3月10日に大阪・ABCホールで千穐楽を迎えた。
「山本雲雀」役・太田奈緒の圧倒的な存在感
今回の舞台「山犬」の中でも圧倒的な存在感を示していたのが太田奈緒だった。今回の舞台「山犬」で太田奈緒は「山本雲雀」役としてコミカルなシーン、シリアスなシーン、狂気に満ちたシーン、アクションと様々なパフォーマンスで会場を魅了。シーンごとに見せる笑顔、泣き顔、虚無、怒り、狂気と多彩な表情、さらに太田の迫真の演技など見せどころが盛りだくさんだった。
太田は2016年9月に出演した舞台「絢爛とか爛漫とか」を皮切りに、その後、2018年3月に、舞台上野パンダ島ビキニーズ「マイナス2.5」、2018年4月には舞台「殺しのリハーサル」、2018年5月には劇団れなっちの舞台「ロミオ&ジュリエット」、2018年7月にはチーム8での舞台「KISS KISS KISS」、2018年10月にはAKB48で舞台「マジムリ学園」、そして2019年2月から監禁劇「山犬」と立て続けに舞台に出演。 その演技力は定評があり、着実に女優への道を歩んでいる。
毎回、それぞれ異なる役柄を演じており、そのたびに個性あふれる演技でファンを魅了。いつもの握手会や劇場、SHOWROOMなどでは見ることがない太田奈緒の表現力とパフォーマンスを魅せつけている。
「新しい役を演じることができたのが良い経験になると思います」
太田奈緒はゲネプロの後にインタビューに応じてくれて、その中で「今までは、赤犬以外はハッピーな役が多かったです。今回の舞台では、どんどん人間の内側から出てくるものをパフォーマンスで表現するのは初めてだったので、難しかったです。ちゃんと表現できているのか不安です。
今までに演じたことがない新しい役を演じることができたのが良い経験になると思います。この舞台で一皮むけたら、次の舞台にも繋げていけるように成長できると思っています。新たな自分を見つけていきたいなと思います」と語ってくれた。
監禁された山小屋での演技と表情が多彩でインパクト
今までの太田の舞台では等身大の太田奈緒に近い役柄が多かったが、前回の舞台「マジムリ学園」での「赤犬」役と今回の「山犬」ではシリアスで陰があり、虚無感を出しながらも狂気じみた役柄を演じて、会場を魅せつけた。とにかく表情が多彩で、笑顔から怒り、コミカル、シリアス、虚空とあらゆる表情を見せてくれた。特に監禁された山小屋での太田の演技と表情には圧巻された。
太田はインタビューでは「監禁されてからの狂気じみたシーンでの演技パフォーマンスが、足りないと演出の丸尾氏に指摘されることも多かったです。監禁されるシーンが凄く難しかったです。監禁されて食事を食べられない環境にいるということが、ふだんないので、イメージが浮かばなかったので、苦労しました。
そのため、空腹の気持ちをわかりたいなと思って、あまり食べないようにして、空腹の辛さをイメージしてみて、目が鋭くなったりするように意識したり、心がけました」と語ってくれたが、太田は空腹に追い詰められた人間の狂気じみた様子を見事に演じきっていた。
今回の舞台「山犬」でも、新たな太田奈緒を発見したファンも多い。いつものアイドル太田奈緒では絶対に見せない表情や台詞を披露し、女優・太田奈緒としてのインパクトを魅せつけた。
そして太田は2019年4月からは舞台「エラリー・クイーン ミステリーオムニバス~観客への挑戦~」への出演も決まっている。次はどのようなパフォーマンスで客席を魅了してくれるのだろうか。女優・太田奈緒の成長が期待されている。