日中戦争のさなか、軍国主義に向かう日本で、青臭い学生たちが理想と現実の間でせめぎ合うーー。世界の名作ミステリーを舞台化するプロジェクト「ノサカラボ」の最新作、ノサカラボ「神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』」が、3月8日に大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホール、3月20日に東京・サンシャイン劇場で幕を開けた。
今作は「ノサカラボ」の主宰・野坂実の構成・演出で、推理作家・高木彬光の神津恭介シリーズを初舞台化した「呪縛の家」に続く、第二弾。
「呪縛の家」では東京大学医学部法医学教室に所属していた神津だが、今作は彼の学生時代を描いた「わが一高時代の犯罪」と、その続編ともいえる「輓歌」の2編をベースに1つの作品にした。明智小五郎、金田一耕助と並ぶ日本三大名探偵の一人といわれる神津を林一敬が第一弾から演じている。
時は1938年。神津と松下が通う第一高等学校(一高)には、プレイボーイの青野(関翔馬)、官僚を目指している飯嶋(高橋曽良)、真面目な妻木(小山龍之介)らエリートで個性的な学生たちが在籍している。ある日、女っ気のない妻木の元に一人の女性が訪ねて来る。いぶかしむ同級生をよそに、妻木の発案でその日の夜に肝試しが行われるが、一高の時計台に登った妻木は、忽然と姿を消してしまう。
一高の卒業生で後輩たちの世話を焼く実業家・水町(加藤雅也)とその秘書の稲田(細貝圭)は、外面は取り繕っているものの、裏では食うか食われるかの関係性を見せ、加藤と細貝の怪演が光る。さらに、神津の恩師である天沼教授(片岡鶴太郎)も独特の存在感を放ち、神津らを導く物語の潤滑油のような役割。
水町の娘・智恵子(能條愛未、中野郁海のダブルキャスト)との神津の初恋も描かれている。
今回、ダブルキャストで智恵子役として出演している中野郁海が舞台の見どころや意気込みを語ってくれました。
「とても責任重大だなと感じました」
―― 出演が決まった時の感想は?
中野:ストレートの舞台は久しぶりでしたし、その中でミステリーの名作であり日本三大名探偵、その初恋相手役ということでとても責任重大だなと感じました。また、今まで演じたことのない役どころなので緊張とワクワクとでいっぱいでした。
―― 舞台での中野さんの見どころや注目ポイントを教えてください
中野:舞台上で恋をする、というのは初めてなんじゃないかと思うんです。普段はちょっと変わっている人柄の子やかっこいい雰囲気の役を演じることが多いのでお嬢様という役どころもまたいつもとは違う見所かなと。髪型やメイクも普段はもちろん、今までの舞台でもないような昭和前期のレトロな雰囲気を楽しんでもらえたらなと思います。
日本を代表する名優とも共演
―― 1938年という80年以上前の昭和時代の女性を演じるにあたって役作りで工夫したこと、苦労したことはありますか?
中野:智恵子の価値観や考え方って割と「自分で切り開いていく」っていう当時の女性にしては今に近いような考えを持つ女性だと感じています。でも、戦争や家を守るということだったり、今の私たちが感じたことのない感覚もたくさんあって、その感覚を自分の中に持ち続けるっていうのは少し苦労しました。
―― 加藤雅也さんや片岡鶴太郎さんといった日本を代表する名俳優と共演しています。大先輩からはどのようなことを学びましたか?演技のアドバイスなどありましたか?
中野:お二人ともとても優しく接してくださいます。特に加藤雅也さんは私の演じる智恵子のお父様役なのですが稽古始まってから毎日のように演技のお話だったりこの時代背景の話をしてくださって、お芝居をきちんと習った事はなかったので先生のように感じ、最近はプライベートのお話とかもするくらい仲良くしてもらっていて本当のお父さんのようにも感じています。
「新たに成長した姿をぜひ観にきてください!」
―― 今回はダブルキャストでの出演ですが、能條さん演じる智恵子との違い、中野さんらしさが出ているところなどがあれば教えてください
中野:全く違うと思います。自分自身でも思いますが共演者の皆さまに言っていただけることが多くて、同じ台詞でほとんど同じ動きをしているのにこんなにも違うのかと思います。
私らしさ…自分で分析するのは難しいんですけど、智恵子の“無邪気さ”みたいなところは私らしさが出ているんじゃないかと思います。
―― ファンの方へのコメントやアピールがあればお願いします。
中野:今回、物語の中でも主人公・神津の初恋相手、そしてお話が進んでいく中で鍵を握る役だと思っています。また今回たくさんの先輩方や高校生達、演出家の野坂さんとの稽古の日々で沢山のことを学んだので新たに成長した姿をぜひ観にきていただきたいです。
残り公演数少ないですが、池袋でお待ちしております!!
ゲネプロ写真
概要
<公演概要>
神津恭介シリーズ『わが一高時代の犯罪』
演出・構成:野坂 実
脚本:須貝 英
音楽:村井邦彦、上野耕路
原作:高木彬光(光文社文庫)
出演:
林 一敬/小園凌央/能條愛未、中野郁海(W キャスト)/
関 翔馬 高橋曽良 小山龍之介 滝 佑⾥/
細貝 圭/加藤雅也/⽚岡鶴太郎(特別出演) ほか
※高橋曽良の「高」は正しくは「はしご高」です。
【大阪】2024年3月8日(金)〜10日(日)
場所:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール(大阪府大阪市中央区大阪城3−6)
3⽉ 8⽇(⾦)14︓00 開演◆/18︓30 開演◆
3⽉ 9 ⽇(⼟)12︓00 開演◇/17︓00 開演◇
3⽉ 10 ⽇(⽇)12︓00 開演◇
【東京】2024年3月20日(水)〜3月31日(日)
場所:サンシャイン劇場(東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ 文化会館4F)
3⽉ 20 ⽇(⽔)18︓30 開演◆
3⽉ 21 ⽇(⽊)14︓00 開演◇
3⽉ 22 ⽇(⾦)14︓00 開演◇/18︓30 開演◇
3⽉ 23 ⽇(⼟)12︓00 開演◆/17︓00 開演◆
3⽉ 24 ⽇(⽇)12︓00 開演◇/17︓00 開演◇
3⽉ 25 ⽇(⽉)休演⽇
3⽉ 26 ⽇(⽕)14︓00 開演◆
3⽉ 27 ⽇(⽔)14︓00 開演◆/18︓30 開演◆
3⽉ 28 ⽇(⽊)14︓00 開演◇
3⽉ 29 ⽇(⾦)14︓00 開演◆/18︓30 開演◆
3⽉ 30 ⽇(⼟)12︓00 開演◇/17︓00 開演◇
3⽉ 31 ⽇(⽇)12︓00 開演◆
◆…能條愛未 ◇…中野郁海
チケット料金(全席指定・税込):S席 前売 9,500円/当日 10,000円
A席 前売 8,500円/当日 9,000円
公式サイト:https://nosakalabo.jp/kamizu-02/