「今を大切に生きていきたい」
2021年6月27日(日)から7月4日(日)まで、東京・なかのZERO 大ホールにて「WORLD ~Change The Sky~」が上演される。それに先立って6月26日にはメディア向けのゲネプロと囲み取材が開催された。
「WORLD」は2013年に初演、2016年に再演を行い、人気を博したジェットコースターサスペンス。初演から8年の時を経て三度目の上演となる今回は、数多くの舞台作品に出演し、活躍の場を広げる実力派の俳優、校條拳太朗と杉江大志、そしてAKB48からチームBの人気メンバー佐々木優佳里がメインキャストを務め、初演から唯一の続投となる金山一彦も出演。
コロナ禍で変化を余儀なくされた日常、舞台芸術界にその波は大きく影響を及ぼし、上演すること自体が難しくなってしまったこの時代の中、人間の息遣いや生命力をお届けできるのは、やはりライブでしか叶わない特別な時間。どんなに生き辛くなっても人間はそれぞれの正義を持ち、突き進む衝動と制御の狭間で生きている。現代に生きる我々にとっても、まさに等身大の人間として葛藤する姿を描いた本作品は、他人事ではない物語。
キャストで注目の1人が奥多摩孤児院殺人事件の被害者・飯島楓の妹で、龍司と出会い行動を共にする飯島久瑠美役を演じる佐々木優佳里。
佐々木優佳里は公演前には「久瑠美にとって楓お姉ちゃんの存在は大きく、心の支えだったのではないかと感じました。そして久瑠美は一度決めたことに対して真っ直ぐで曲げない人。大切な人の人生を背負って生きている久瑠美の気持ちを受け取って全力で演じていきたいと思います」と語っていた。
そして佐々木も「明るく楽しい現場です!」と語っていたが、舞台の内容とは全く異なりキャストらの明るく笑いが絶えない囲み取材だった。
囲み取材で佐々木は「久瑠美はこの物語で一番憎しみという感情を大きく持った役柄です。事件後18年の久瑠美の人生や想いを表現していきたいと思います」と意気込みを語っていた。また佐々木は「18年間、姉を失ってからの久瑠美という役を演じて、久瑠美の18年間の気持ちに刺激を受けました。今を大切に生きていきたいという思いが出てきました」とコメント。
金山一彦氏「とても素晴らしい女優だと思います!」
「いつものアイドル活動とは全く違う役柄を表現するにあたって、心がけたことや工夫したことはありますか?」という質問に佐々木は「私とは全く真逆の性格です。稽古を重ねていくうちに、演出家やキャストの皆さんが空気感を作ってくださったので、自然と役に入っていくことができました」と語っていた。
囲み取材で佐々木の隣に座っていたベテラン俳優で、国立周蔵役を演じた金山一彦氏は「今回、自分はこの舞台3回目で、3人の久瑠美役の子と演じてきました。佐々木さんは今までと違うタイプです。久瑠美は台詞を言うたびに胸の奥から想いを伝えているのがわかります。ハートが伝わってきます。国立は久瑠美を守ろうとする役ですが、佐々木が演じる久瑠美は、"本当に守ってあげなきゃ"という強い気持ちが出てきます。今回、演出家の方からも"国立が久瑠美をしっかりと受け取っていますよね"と毎回言ってくれています。(佐々木が演じる)久瑠美のハートが鳴っています。それに(自分が演じる)国立が共感しています。とても素晴らしい女優だと思います!」と大絶賛すると、囲み取材で並んでいた他のキャスト達からも拍手が起きていた。
金山一彦氏の高評価に対して佐々木は「ありがとうございます!本当に嬉しいです!是非、その2人の演技に注目して、ステージでの共感を一緒に感じてほしいです」とにっこり。最後に佐々木は「スピード感のある舞台です。一人一人の熱量や気持ちを舞台で受け取って欲しいです」とメッセージを寄せていた。
アイドル活動10年を迎えた佐々木優佳里。前回はコミカルな舞台にも挑戦して新たな境地を開拓していた。今回はシリアスな役柄でいつもとは全く違う迫真の演技を見せている。いろいろなことを考えさせられる舞台での佐々木優佳里の気迫のこもった演技と表情に注目。