猛暑真っ只中の2020年8月20日(木)、日本青年館ホールにて「舞台 真・三國無双 ~赤壁の戦いIF~」の初日が開幕。初日舞台を取材観覧してきた。
入場時にはサーモによる検温、手指消毒など入念な感染予防対策がとられ、入場列も間隔を空けソーシャルディスタンスを徹底した措置が行われ、劇場の万全の換気システムに加え、各所に大型扇風機を設置するなど、換気を強く意識したものになっていた。
舞台は可動式階段を大胆に配置し、舞台中央に高低差をつけたアクティング空間を大きく取る複層構造の美術は22人のメインキャストと8人のアクションアンサンブルが縦横無尽に暴れまわる十分な空間を確保。
開幕すると場面は赤壁の戦い、孫権・劉備連合軍により壊滅的な打撃を受けた曹操軍の無残な姿がさらされるところから物語は始まる。 満身創痍の曹操(波岡一喜)が語りかける「・・・のう、郭嘉よ・・・」 そこには、死んだはずの郭嘉(丘山晴己)がいた。
覇者・曹操がその死を最も惜しんだといわれる郭嘉が生きていたら、というゲーム原作ならではのIFストーリー。誰もが知っている「赤壁の戦い」がどんなIFになるか、いやが応にも盛り上がる。そしてオープニングから怒涛のように繰り広げられる22人の武将のアクションシーンは圧巻の一言。広い日本青年館ホールの舞台が狭く感じられるほど。そして派手な戦いの裏で、物語は郭嘉と諸葛亮、周瑜の天才軍師同士の頭脳戦を軸に進んでゆく。
圧倒的な兵力で侵攻してくる曹操軍に対し、孫権軍は熱い結束で対抗していく。そこに稀代の天才・諸葛亮(室龍太)に導かれた劉備軍が合流。それぞれの思惑を超え、曹操軍に対抗することに。
船上での戦いが不得意な曹操軍は、船を連結して戦いに挑む。そしてそれを見越した孫権軍の美しき軍師・周瑜(健人)と諸葛亮は火計を仕掛けるため、黄蓋(鵜飼主水)を裏切り者に仕立てて潜入させる・・・とここまでは歴史通りの展開。ところがここに、天才軍師・郭嘉が現れることで、誰も知らない歴史に突入していく。
郭嘉役・丘山晴己の人間離れした美しさと槍さばきは見事の一言。 曹操役の波岡一喜が存在感で場を圧倒し、劉備役の中村誠治郎はさすがの殺陣を魅せる。そして孫権役の稲葉光は、波岡・中村という実力派の二人に、覇気で対抗し、まさに若虎といった存在に。小喬役の太田奈緒、月英役の上西恵、蔡文姫役の宮崎理奈、孫尚香役の搗宮姫奈といった女性武将の華麗な殺陣も見どころ。舞台「真・三國無双」シリーズでは名物となった楽進による一人リサイタルも健在だった。
卒業後初・初2.5次元・初殺陣「3初」太田奈緒らしい小喬 美脚にも注目
特に注目は孫権軍の小喬役で出演していた太田奈緒だ。太田にとってはAKB48卒業後初の舞台であり、初の2.5次元の挑戦であり、初の本格的な殺陣の挑戦と「3初の舞台」だった。
太田は舞台初日の朝に「やっと舞台に立つことが出来て本当に嬉しいし、こんな状況の中で、立つことができることの有難さを朝から凄く感じています」と語っていた。
太田はAKB48チーム8を2019年12月に卒業してから初の舞台出演。当初予定していた舞台が新型コロナの影響で中止になってしまった。そして太田がAKB48時代に最後の舞台として出演した「フラガール -dance for smile-」を演じた懐かしの日本青年館ホールで、卒業後初の舞台登壇となった。
フラガールで演じた炭坑娘と異なり、今回は初の2.5次元に挑戦した太田奈緒。小喬を忠実に再現したオレンジ色のかわいらしい衣装と髪型がステージでも映えていた。
そして出演者全員がダイナミックでハードな剣での殺陣が繰り広げられる中、両手に扇子を持って殺陣に挑む太田奈緒のパフォーマンスが目を引いた。初挑戦の2.5次元、初めての挑戦とは思えない本格的な殺陣を披露する太田奈緒のスピード感溢れる華麗な扇子での殺陣が見どころ。
大人数での殺陣から少人数での殺陣までステージ上での躍動感あるダイナミックな扇子での殺陣だけでなく、キュートな仕草や表情、人懐っこい笑顔での台詞など、太田奈緒らしさも見事に発揮された小喬で戦場に華を添えていた。
さらに鍛え上げられたスレンダーな太田奈緒の美脚にも注目。久しぶりの舞台となったが着実に女優としての一歩を踏み出している。